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まがいもののセスタ(ギン視点)

ルピの訃報を知らせに来た東仙にギンは薄っぺらな同情しか示さなかった。その後,部屋を訪れた藍染にギンは…
ノックの音がした。

「ど――ぞ・・・」

近づいてくる霊圧で誰かと言うことはわかっていたので市丸ギンは窓辺に座り,砂漠を見つめたまま振り向きもせずに言った。

「井上織姫確保のために,現世に派遣されていた者たちからの報告書だ。」

ワンダーワイスを引き連れてギンの部屋に入ってきた東仙要が,机の上に無造作に書簡を置いた。全盲であると言うのにギンの部屋の家具の位置を全て把握している。
そう頻繁にギンの部屋を訪れるわけでもないのに勘の鋭い男だといつも思う。

「東仙さんが,わざわざ持ってくるほどの内容でもないでしょう。所詮,囮やったんやし。」

ギンは音もなく床に降り立つと,書簡を手に取りちらりと眼を走らせただけで,再び机に置いた。ウルキオラが作成したのであろう。相変わらず生真面目な男だ。
それにしても統括官である東仙がわざわざ持ってくるほどの内容ではない。

「君にとって残念なことを伝えねばならない。それゆえ,私が出向いたのだ。」

「・・・!?―――」

東仙の言葉にギンの霊圧がわずかに乱れた。

(意外だな・・・)

この男が霊圧を乱すことなど滅多にない,いつも飄々としていて物事に執着せず凄惨な光景を目にしても眉ひとつ動かさず,うすら笑いを浮かべている。
そう子供の時から・・・
さらに動揺を与えるかと思うと気が重かった。

「№6のルピが死んだよ。グリムジョーに殺された・・・!?――」

東仙は眉根を寄せた。自分の言葉を聞くと同時にギンの霊圧の震えが治まったのだ。
いつも通りの冷たいゆるぎない氷のような霊圧に。先程の乱れは錯覚であったのかと東仙は面食らった。

「ああ,それは残念やなぁ。あの子とは,よお話合う取ったのに。」

いつもの飄々とした軽薄な口調,言葉とは裏腹に,ギンの声にはルピを悼む気持ちなど欠片も込められていない。
どうやら,先程の霊圧の乱れは己の勘違いであったようだ。
東仙は疲れたように部屋の中央にあるソファに腰掛けた。ワンダーワイスが足元にうずくまるように座る。

「相変わらず冷たい男だな,君は。彼とは親密であったと思っていたが・・・」

「えー悲しんでますよぉ,ボクは。あの子くらいしかボクと仲良うしてくれる子ぉ居らんのに,ほんま残念やわぁ。」

「君にそういう感情を期待していたわけではないが,ルピは君のことを本当に慕っていたよ。君と言う男は,本当に執着心と言うものがないのだな・・・」

東仙はギンの霊圧に何の感情もこもっていないことを確認し,口先だけの嘆きに軽く肩をすくめると,ワンダーワイスを促しギンの部屋を出て行った。



一人になるとギンは再び窓辺に座り,くすくすと嗤った。自分に執着心がないとは,何と面白い冗談なのであろう。この市丸ギンに執着心がないなどと・・・

初めてルピを見た時,彼は後ろ姿であった。艶やかな黒髪に華奢な身体が,ある少女を思い出させた。そして彼の瞳の色が紫色であったことがギンの興味を更に引いた。
名前まで似ていた・・・愛しいあの少女に・・・

それゆえ,彼に誘われるままに身体の関係を結んだ。
しかし,その瞳の色にまず我慢が出来なくなった。
あの,深い藍紫の宝石のように輝く瞳は,目の前の少年の瞳の色のような薄っぺらい輝きではない。

そして声にも。
少女にしてはやや低く澄んだ凛とした声音とは,かけ離れた少年の金属質な嬌声は耳ざわりだった。

そう,所詮はまがいもの・・・無理に面影を重ねようとも異なる部分ばかりが目につき苛立ちと切なさだけを募らせる。

そして,ルピが執拗に唇を求めてきたとき,ギンは彼を突き飛ばしていた。

「キスは嫌いやって言うたやろう・・・」

ルピはひどく傷ついたような顔をしていたが,ギンの心には苛立ちしかなかった。
それは自分に対する苛立ちであったのかもしれない。
かつて戯れに少女を抱きしめくちづけて以来,花街の太夫であろうが,仮初の遊びの恋愛相手であろうがギンはくちづけが出来なくなったのだから。

(乙女やあるまいし・・・)

自分の新たな性癖になってしまったくちづけ嫌いに時折ギンは苦笑する。
しかし,長い時が流れても決して忘れることのできない少女の唇の感触だけがギンの身体を疼かせる唯一のものであった。


再びノックの音がした。今度は霊圧を感知できなかった。だからこそ誰が来たのかギンにはわかった。ひらりと窓辺から降りるとノックした人物を出迎えた。

「呼ばはったら。自分から出向きましたのに。藍染隊長。」

かつての護廷十三隊五番隊隊長にして尸魂界の裏切り者,虚夜城の主,藍染惣介がドアを開けて入ってきた。端正な冷たい顔に酷薄な笑みをたたえた表情は自分以上に他者に感情を読ませないと,ギンはいつも思う。

「少し,君と話したいと思ってね。」

藍染はソファに腰掛け,ギンの部屋をぐるりと見渡すと,言った。

「相変わらず,必要最小限のものしか置いていないのだね。」

「ごちゃごちゃものを置くんは性に合わんだけですよ。」

ギンは向かいの椅子に腰かけうすら笑いを崩さず答える。

「ルピが死んだことは聞いているね。」

「ええ,残念ですわ。」自分の感情などお見通しである相手にギンは白々しく答える。

「グリムジョーを処罰しても構わないのだよ。」

藍染は組んだ手の上に顎を乗せ面白そうにギンの顔を見つめる。

「貴重な十刃を処分なんて,東仙さんやあるまいし,必要ないです。ルピ君は可哀想ですけど,まあしゃあないっちゅうことで。」

ギンの答えに藍染はうっすらと笑った。

「執着のないおもちゃは,誰が壊そうが君は構わないのだったね。」

「・・・・・。」ギンは答えない。二人の間にしばしの沈黙が流れる。

「じゃあ,そろそろ私は失礼するよ。井上織姫と会う約束があるのでね。」

藍染はソファから立ち上がり扉に向かった。ギンは黙ってその後ろ姿を見送る。

「君が執着したものと言えば・・・」

何でもない風に藍染は穏やかに,いっそ優しげに思えるほどの口調で続けた。

「私は,あのおもちゃを,君が壊したあとの顔が見たかったのだがね。余計な邪魔が入ってしまったばかりに叶わなかった。本当に残念だよ。」

(やっぱり気付いてはったんやな・・・)

「何のことやら,ボクに執着心なんかありませんよ。最初にお会いした時に言いましたやろ。僕は蛇や。肌は冷やい。情は無い。そういう生きものやて・・・」

それには答えず,藍染はしばらく面白そうにギンを見つめた後,部屋を出て行った。
一人残されたギンは己が唯一執着する者,黒髪の少女のことを思った。

自分の目的のための盾に彼女を用いたことにひどく心乱されながら・・・



そして,遂に少女は虚圏にやって来た。仲間と共に井上織姫を助けるために・・・。

ギンはスクリーンに映る虚夜城の長い廊下を駆ける少女の姿を見つめた。
焦がれ続け,求め続けた最愛の少女。
ギンはコントロールパネルを操り少女を,彼女がよく知る者の姿を纏う十刃の宮に導く。

「さあ,ルキアちゃん,キミとボクの執着に決着をつけようか・・・」

ギンの口元に微かに笑みが浮かんだ。
気に入った奴をまる呑みにする・・・そう,それがボクだから・・・。

                  
          〈END〉

あとがき
なんとなく『LEAVE NO HEART』に続きそうな話になりました。ギンの気持ちもっと深くよみとりたいなあ…

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