嘘から出た真(前編)

今日も今日とてギンの気まぐれな想いに翻弄され,ギンの関心を自分から逸らすにはどうしたらよいのかと頭を悩ませるルキアに張本人のギンがある提案を持ちかけるのだが…
「・・・で,どこにお付き合いすればよろしいのですか?」

心底うんざりした声を隠そうともせず,朽木ルキアは市丸ギンを見上げる。
ギンは大げさに肩をすくめながらわざとらしくため息を吐きルキアに笑いかける。

「キミから誘ってきたデートやん。行き先くらい決めとかなあかんよ!」

ギンの言葉にルキアがうっと詰まる。
話の流れとはいえ,なぜルキアががこの男を終業後にデート(断じてルキアは認めないが)に誘うことになってしまったのかというと,話は一刻半程前にさかのぼる。



「市丸隊長,どうして私にそこまで構うのですか?」

今日も今日とて書類を届けに来た自分をあっさり開放してはくれず,判を押す代わりにとギンにお茶に付き合わされているルキアは目の前に出されたお茶には手をつけず,失礼にならない程度のきつい視線でギンを睨んだ。
                 
「んー,そやねえ。キミと一緒にいるとおもろいんよ。」

ヌケヌケとうそぶきながら,ギンは膝の上に頬杖をつき,しげしげとなめまわすような視線でルキアを見つめる。
真面目に答える気はなさそうである。ルキアは居心地の悪さにため息をついた。

この男が流す浮名はよく承知している。どうせ流魂街出身で大貴族の養子になった自分を面白がっているだけなのだろう。
他の大勢の輩のように中傷の陰口を叩かないだけましだが(その代わり直接言ってくるのだが…)いずれは朽木家の飼猫と囁かれる自分のことなどすぐに飽きて,別の新たな興味の対象を求めるのであろう。
一時の気まぐれに毎度付き合わされるこちらはたまったものではない。

なんとかこの男からのちょっかいをなくす方法はないのであろうか?

「ルキアちゃん,男っちゅうものはなぁ。逃げられたり避けられたりしたら,追いとうなるもんなんや。そういうつれへん相手に興味かて持つし,つきまといたくもなるもんなんや。つまり,ちょっかいかけられるんはキミのせいでもあるっちゅうことやね?」

「ぶっ・・・・・・!?」

ルキアの心を読んだかのようなギンの言葉に,ルキアはようやく口にしたお茶を吹きそうになった。
それでは自分が今までしてきた行為は,すべてギンの自分への興味を煽っていただけだというのだろうか?
ルキアは藍紫色の瞳をまん丸に見開いてギンを呆然と見つめた。

(わかりやすいなあ・・・ほんまにこの子はおもろいわ。たまらんわ。)

ギンは内心舌なめずりをしつつ,そんな様子はおくびにも出さず,にんまりと広角を上げる独特の笑みを浮かべながらルキアを見つめ返した。

「では,私はどうしたらいいのですか?」

ギンの興味から外れたいという必死の思いで,当人にそれを尋ねているという失礼さにも気づかず,ルキアは思わずギンに問いかけた。

かかりよったわ・・・。ギンの瞳が怪しく光った。

「そうやね。まずはデートしてみるのが,ええんとちゃう?」

「は・・・・・!?」

「避けるから追い回すんや,そやからまずは,とことん相手の気が済むまで付き合うてやるのが最良の策や。」

「で,でーとですか?」

「せや。当然キミの方から誘わなあかんよ。」

「ええっ!?」

「追いかけられたない以上,まずは自分から積極的に動かんとなあ。さあ,なんて言うん?」

ルキアは頭を抱えたくなった。ふたりきりでプライベートで会うことだけは,今まで断固拒絶してきたと言うのに,なぜ自分からこの男を誘わねばならないのだ?
しかし,一時の我慢でこの男からの絶え間ない戯れや,ちょっかいから逃れられるのならば・・・

ルキアは苦い薬を飲み込んだような顔でギンにしぶしぶ尋ねた。

「市丸隊長,お暇でしたら・・・今日隊務終了後に・・・私とお付き合いしていただけません・・・か?」

断腸の思いで言葉を口にしたルキアにギンは顔中を口にしたような顔で笑うと楽しげに答えた。

「もちろんや。ルキアちゃんからの初めてのお誘いやもんなぁ♪終業時間になったら隊主室に迎えに来てや!」



というような経緯があって今二人は肩を並べて瀞霊廷の繁華街を歩いているわけなのである。
しかし,行き先も何も,ルキアは隊務終了後はいつもまっすぐに朽木邸に帰るか,隊舎で鍛錬や鬼道習得に励んでいたため,気の利いた店などまるで知らなかった。
ルキアが知っているのは白玉の美味しい甘味屋がせいぜいであるが,そろそろ夕刻である。茶という時間でもないだろう。

ルキアが困ったように視線を様々な店に走らせるのを見て,ギンはくくっと笑った。

「しゃあないなあ。ルキアちゃんおすすめのデートコースは次回の楽しみ言う事で,今日はボクが案内するわ。」

そう言うとギンはルキアの小さな手を取り,指を絡ませきゅっとつないだ。しかも貝殻つなぎでがっちりと。

「・・・!?いっ,市丸隊長!!」

「逃げたらあかんて言うたやろ?」

そう言われると無碍に振りほどくこともできない。
男にしては繊細で細いギンの指がルキアの小さな華奢な指に絡む様子は蛇に小動物が捕食されているようにも見え,手をつないでいるだけだというのにひどく淫靡に見える。
時折,緩急をつけて握られる指の感触にルキアの頬が真っ赤になる。
どうしてこの男は手をつなぐだけで,これほどいやらしくできるのであろうか・・・・?それとも自分が初心なだけなのであろうか。

そんなルキアの様子に構わずギンは楽しげにルキアの手を引いて歩き出した。
ギンはルキアの反応一つ一つに大いに満足していた。
本当になんという純情さであろう。自分の口車に乗ってあっさりデートに応じ,しかも手をつないで歩いているのだから。
ギンの悪戯心と嗜虐心がルキアの柔らかな手のひらの感触でいやが上にも滾り始める。

(ほんまに可愛ええなあ。手ぇつないだだけでこないに反応しとったら,これ以上のことしたら,どないなるんやろ?)

「なあ,ルキアちゃん。おうちにはなんて言うてあるん?」

答えによっては多少今夜の計画に修正を加えなければならないため,ギンは心とは裏腹に軽い口調でルキアに問いかけた。

「残業で遅くなると言ってあります。」

まさか,三番隊隊長とデートするために遅くなるとは口が裂けても言えなかったので,心ならずも執事の清家についた嘘である。

(ビンゴや♪)

ギンの口元が裂けそうなほどにんまりと上がり,長い舌が薄い形よい唇を軽くひとなめする。今宵,計画は予定通りに実行される。

「ついたで。ここや。」

こじんまりとした品の良い料亭の前に来てギンは足を止めルキアを促した。
店の傍らには竹林があり清々しい香りがした。店の前は打ち水がされ涼気が漂う。暖簾はかかっていないが戸口に光る角灯に『ほたるや』と記されていた。


to be continued…

嘘から出た真(中編)


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