乙女座男子と山羊座少女~part.1

ラブラブ恋人設定のギンルキです。
突発仕事でちゃっかり現世にやってきたギンがルキアへのプレゼントを選んでいる時,たまたま手にとったものは…
平日とはいえ活気のある都会の繁華街,程々の人混みの中ひときわ目立つスーツ姿の長身の男が飄然と歩いていた。

さらりとしたくせのない銀髪,やや細面の端正な顔立ち,切れ長の瞳。
その瞳はいっそ細目と言ってもいい程で彼の顔の中でひときわ特徴的であった。
しかし,それは常に笑っているような眦と常に笑みを湛えているような薄く形良い口元と相まって,その男ぶりを引き立たせこそすれ,少しも損ねるものではなかった。

長身痩躯の美青年の姿を通り過ぎる人々のうちふたりに一人は振り返る。もちろんそのほとんどが若い娘ばかりだ。

その男ぶりに惹かれ,中には声をかけてくる己の容姿に自信のある大胆な女たちもいたが彼は全てやんわりと,しかし丁重にお断りする。
彼にとって異性は胸の中に常に抱いている意中の少女のみ,他の女など彼にとってはなんの興味の対象にもならないのである。

しかし,多くの女性をとりこにする彼の容姿も,彼の愛する少女に言わせれば得体のしれない性悪狐面らしいのだが・・・

そうここは現世,義骸に入った死神,三番隊隊長市丸ギンは久しぶりの現世を大いに満喫していた。

尸魂界瀞霊廷内の通信局に現世に手強い虚が出たという緊急連絡が入った時,たまたま手のあいた席官がいなかったため,本来なら大虚クラスの虚でもでない限り隊長であるギンが出張る必要もなかったのだが,久しぶりに現世に遊びに行きたかったギンが強引に討伐を引き受けて現世に降り立ったのである。

予想通り,中級クラスの虚であったためあっさりとギンは虚を秒殺し,現世駐在員が隊長の派遣に青くなって,ご足労させたことを平謝りするのを鷹揚にいなして,さっさと街へと遊びに出たわけであった。

目的はただひとつ,可愛くもつれない最愛の恋人,十三番隊所属の死神,朽木ルキアへのプレゼント探しであった。

ギンの足は大型書店へと向かっていた。今日のルキアへの贈り物は本にするつもりなのだ。

やっとのことで恋人同士になり,自分の選んだプレゼントを笑顔で受け取ってくれるようになったのだ。
そうなると,もっともっと笑顔を見たい,喜んでもらいたいと思うのは当然の成り行き。おかげでギンの私邸にはまるまる一部屋,ルキアへのおびただしい数のプレゼントを飾る『チャッピーのお部屋』なるルキアのための部屋ができてしまったほどである。

最近のギンのルキアへのお気に入りのプレゼントは色の美しい絵本や,可愛らしい話の載っている童話などである。
本のプレゼントはルキアの笑顔という報酬の他にさらにギンにとって嬉しいことがあった。
ルキアが必ずもらった本を朗読してくれとギンにねだってくれるのである。

ルキアを己の膝の上に乗せ,一緒に本を広げながら朗読する至福の時間―――

ルキアはいつも,請われなくともいそいそとギンの膝の上に乗り,


「おまえの声だけは本当に大好きなのだ!早く読んでくれ♪」


『声だけ』という台詞は多少気になるが,幼子のように瞳をキラキラと輝かせる無邪気なルキアの笑顔が愛しく,小さく柔らかな身体を己の膝に預けてくれる嬉しさはたとえようもなく,ギンにとっても最高に幸せな時間なのである。

なんだか仲良し親子のような時間だが,朗読の後はたいてい甘い恋人同士の時間を許してくれるのでギンにとっては本のプレゼントは自分へのプレゼントと言っていいほど二重の喜びを持っているのである。

児童書コーナーに大人でしかも男一人でいるのは非常に目立って居心地が悪いので今日のように平日に書店にこれたのはまさしくギンにとっては僥倖であった。
軽い足取りで絵本や童話の並ぶ棚を見回しながらギンはルキアの好みそうな本をあれこれと物色する。


(今日のは,何にしようか。『100万回生きた猫』,ふむ,ええな♪まずはコレと・・・)


内容も絵も可愛らしい本を何冊か選び終え,会計所に向かいかけたギンの目に平積みの棚に並んだカラフルな色合いの本が目についた。
女の子向けの占い書コーナーである。

『あなたと意中の相手の相性は最高?それとも?』ハート型のポップの中に可愛らしいデコ文字が踊っている。

(女の子の占い好きは尸魂界も現世も変わらんのやな。)

わずかに興味がひかれギンはその中で『当店一番のおすすめ☆恋の十二星座☆』のポップが揺れる星占いの本を一冊手にとった。

読み進めるにつれギンのパラパラとページを捲る手が止まり,肩がプルプルと震え出した。
ファンシーな占いブックコーナーの前で震えている長身の成人男性・・・

かなりシュールな光景であった・・・・・

さすがに店の者も不審に思ったのか店長らしき人物が恐る恐る声をかける。

「あ,あの,お客様?何かご気分でも・・・」

「へ?気分?」

振り返った銀髪の男の顔はこれ以上ないほどの満面の笑みで輝いていた。

「気分は最高や!この本包んでくれん?あ,こっちはプレゼント包装でな。」




「ルーキーアーちゃん♪見いつけた♪」

長い隊舎廊を歩く書類の束を抱えた小柄な後ろ姿を目ざとく見つけギンは嬉しげに駆け寄っていく。

「隊務中ですよ,市丸隊長。」

大きな菫の瞳を軽くすがめ冷ややかにギンを見上げる相変わらずのつれない恋人の態度にもめげず,ギンはルキアと並んで歩き出す。

「今日ボクなあ,現世に行っとったんよ。」

「ああ,吉良殿から聞いている。何でも書類仕事をサボる口実に嬉々として出かけていったそうではないか。」

「そ,そんな訳でもないんよ。結構手強い虚・・・やったし・・・まあ,それはともかくその派遣ついでに,たまたま寄った本屋で面白い本見つけたんや。」

ギンは鋭いツッコミを入れてくるルキアに慌てながらも手に持っていた本を見せた。
ピンクの表紙に金色のキラキラ星が踊る,愛らしい十二星座のイラストが描かれている本を見てルキアの目が呆れたようにさらに細くなった。

「星占いの本ではないか?おまえはいい年をしてどんな顔でこの本を買ったのだ?」

「そ,それはどうでもええやん!それよりルキアちゃんは1月14日生まれやから山羊座やろ?そこのページ開いてみてや♪」

言われるままにルキアは本を受け取りページを繰った。
山羊座のページはわざわざ探すまでもなくしっかりと栞が挟まれておりあっさりと開いた。

「山羊座は忍耐と追求力に富む努力家で・・・」

「あ,性格のとこはボクよおわかっているから飛ばしてええよ。キミに見てほしいとこはここや♪」

山羊座の基本性格のところを読み始めたルキアを制し,ギンは一番読ませたい箇所を指さした。
ルキアが視線を向けると,そこは山羊座と相性のよい星座について書かれていた。そしてルキアが目を通すより早くギンが嬉しげに解説を始めだした。どうやら何度も読み返し暗記してしまったようである。

「山羊座と乙女座は相性抜群なんやって♪山羊座の孤独な忍耐と努力の半生は雨の日は一つの傘を持ち合おうという相互扶助の優しさを持つ相手を必要とします。その点、優しく思いやりのある乙女座が最高らしいんよ!!」

そう,ギンは9月10日生まれの乙女座,山羊座のルキアとは星座の上では最高の相性である。どうやらそれを伝えたいがためにギンはこの本を現世で購入してきたらしい。


「優しく思いやりがあるという所には大いに疑問を感じるのだが・・・」

ギンをジト目で見ながらルキアが水を向けてもギンはそちらの意見は無視して言葉を続けた。

「そこの『雨の日は一つの傘を持ち合おう』っていうのすごくええなあってボク思おたんよ。ルキアちゃん,雨大キライやもんな。持ち合うどころかボク一生キミの傘になったるよ!」


とくん・・・


ルキアの胸の鼓動が一つ速く打った。それでも顔だけは無表情を崩さず言った。

「世の中にどれほどの数の山羊座と乙女座がいると思っておるのだ?だいたい恋次も乙女座だ。」

ルキアが赤髪の幼馴染の名を出して釘を刺そうとしてもギンは一向にひるまない。

「ああ,あれはあかん8月31日生まれやもん!」

「は?」

わけが分からずルキアが問い返すと,ギンはにんまりといつもの笑みで楽しそうに言葉を続けた。

「日付別の相性も調べたんや♪『9月10日生まれの人が恋人にするなら→1月14日生まれの人』なんやって!やっぱルキアちゃんとボクは 赤い糸で結ばれとるんやわ―♪」

「性格は自己中、プライドが高い、嫉妬深いと書いてあるぞ…」

「それ誰のことなん?」

「とにかくこんな幼稚な占いなどにうつつを抜かしておらずに真面目に仕事を…」

その時ルキアの言葉が合図であったかのように背後で怒りを抑えたふたりのごく聞きなれた低い声が響いた。

「市丸隊長…仕事サボって何やっているんですか…」

同時に振り向いたふたりの後ろに立っているのは護廷十三隊中,最も不憫な副隊長の呼び声も高い三番隊副隊長吉良イヅルであった。
イヅルは軽く視線だけでルキアに挨拶するとギンの袖をがっちりと掴み珍しくどすの利いた声で言い募った。

「いつまでも付きまとって朽木さんに迷惑かけている暇があったらとっとと机の上の仕事を片付けてください!!」

「いけずやなあ。イヅルは!愛する恋人との束の間の逢瀬もボクには許されんのぉ?」

「寝言は寝てから言ってください!今日は仕事が済むまで一歩たりとも隊主室から出しませんからね!」

そのまま,引きずっていこうとする鬼の形相のイヅルを前にギンは肩をすくめると妥協するように言った。

「わかったわ,イヅル。でもちょう待ってや。ルキアちゃんに渡すもんがあるから。」

「ちょっとだけですよ。」

その場を静観していたルキアにギンはすいと近づいた。ルキアはきょとんとした顔でギンを見上げる。

「渡すものとは何だ?」

「これや♪」

いうが早いがギンはひょいとルキアを抱き寄せると額にちゅっとくちづけをした。

「な,何をする!?」

一瞬の間の後,ルキアの頬がみるみる赤く染まる。ギンは素早く身体を離しルキアの反撃をかわすとにっこりとルキアに笑いかけた。

「隊務中やからこれで我慢しといたるな。終業時間になったら三番隊まで来てな。お土産あるから♪」

「ギン・・・貴様・・・」

おでこを押さえて真っ赤になって腕を振り上げる相変わらず初心な愛しい恋人の怒りを,嬉しげに受け流しギンは早く早くと急き立てるイヅルの後ろを足早に追いかけていった。

「まったく…おおたわけが…」

ギンの姿が隊舎廊の向こうに消えるまで怒り顔で見送っていたが,その姿が完全に見えなくなると,ふっとルキアは困ったようなそれでいて幸せそうな笑みを浮かべた。

ギンの前では見せないが本当は,ルキアは嬉しかったのだ。ふたりの相性がよかったからではない,ルキアは運命は占いなどで決まらないと常々思っている現実主義者である。

ルキアが嬉しかったのはギンの想いであった。ふたりの相性がよいと言って心から嬉しそうに笑い,自分にそれを伝えるためにあんな少女が読むような占い本を購入し,わざわざ探してまで自分に会いに来てくれた。


その心が,変わらぬ愛情が嬉しかったのである。


ルキアは返しそびれてしまった星占いの本を大切に抱えると,この本を返すと言う口実で帰りに三番隊によっても良いなと思いながら一緒に書類も抱えてゆっくりと歩き出した。

先ほどの山羊座の恋愛運に載っていた言葉


『雨の日には一本の傘に入って幸福を建設する』


そんなふたりになりたいなと願いながら・・・


                〈END〉


あとがき
Twitterで書いていたお話をベースにrei-u様からのなたね様への『9月10日生まれの人が恋人にするなら→1月14日生まれの人』の情報をちゃっかりいただきましてこのSSが生まれました。
上記の通り,占い話はもうひとつ続きます(*´σ-`)エヘヘ


乙女座男子と山羊座少女Part2

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