絶対家族!―特別編〈前編〉

我が神,樹みさを様の名作『絶対家族!』のkokuriko版お正月番外編でございます。
尸魂界で結ばれ幸せに暮らす家族となった。市丸ギンとルキアとふたりの可愛いこどもの物語です♪
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すうすう…という柔らかな寝息が聞こえてくる。
ここは,お手玉,おはじき,人形にままごと道具,たくさんの玩具が散らばる子供部屋。
可愛いうさぎ柄の布団に眠る愛らしい少女に添い寝していた黒髪の少年が,細い目を更に細めて囁くようにつぶやく。

「・・・ゆな,起きる頃にはまた来るからな。ええ子でねんねしててや。」

少年はそっと起き上がると,しっかりと自分の着物の袖を掴んでいた最愛の妹の小さな手をそっと外し,薄い布団で小さな肩を暖かくくるむとニッコリと微笑んだ。足音をしのばせて部屋を出て子供部屋の襖を閉める。

彼の名は市丸レン,市丸ギンと朽木(旧姓)ルキアとの間に生まれた第一子である。
髪が黒い以外は顔も性格もギンに瓜二つである。
そして,レンが寝かしつけていたのはギンとルキアの第二子であるゆな,ルキアと生き写しの愛らしい少女である。唯一異なるのは額に垂れる前髪に一房交じる銀髪,それだけがかつてのルキアの崇拝者たちを嘆かせる市丸家のアイドルである。

いつもなら一緒にゆなと昼寝を楽しむレンなのだが,最近,残業続きで帰りが遅かった父親である市丸ギンが今日は早くに帰ると聞いていたので,大好きな母ルキアとの二人っきりの時間を,できるだけ持ちたかった為,昼寝を我慢したのだ。そう,たとえ,ゆなであってもレンはルキアとの時間を邪魔されたくなかったのである。

自然に廊下を歩く足取りが弾み,駆け出さんばかりに気持ちが高揚するのを,レンはかろうじて押し止める。父親とよく似た口角を上げた独特の笑みが顔中に広がる。
ギン以外気付いていないが,レンは母親であるルキアを本気で愛しているのだ。

もちろん,もうかなり大きくなってしまった自分が母親にそうベタベタするわけにはいかないが ,常にルキアが喜びそうなことを先回りし,点数を稼ぎ将来必ず自分のモノにする予定は幼い頃から微塵も揺るがない。
自分のするお手伝いや,野の花を摘んできたささやかな贈り物に,いつもギンからの高価な贈り物よりも嬉しそうに笑ってくれるルキア・・・
そう,自分の方が絶対ルキアに愛されている自信がある。

(おかあちゃん・・・大好きや。絶対将来ボクのお嫁さんになってな。)

レンはそんなことを思いながら,ルキアのいる部屋の襖をそっと開けた。
若干幼げな声で母に呼びかける。

「おかあちゃん,ゆな,ねんねしたで。」

「ああ,ありがとう。レン。」

庭に面したさんさんと日が差し込む和室にいたルキアはもう自分よりも背が伸び,少年らしくなってきた息子に優しく笑いかけた。

艶やかなぬばたまの黒髪,木蓮の花びらのようなしっとりとした白く輝く肌,愛らしい薔薇の蕾のような唇,長い睫毛に縁どられた美しい菫色の瞳・・・小柄で少女のような容姿はとうてい子供二人をもつ母親には見えない。レンは思う,ルキアのような母は,いや女性は他に二人といないと。
まだ邪念にまでは至っていないが子供にしては十分不埒な視線で母親を見つめながらレンは言った。

「おかあちゃん,何しとんの?」

ルキアの周りには色鮮やかな反物が広げられていた。
レンは反物を踏まないように注意しながらルキアに近づくとそのかたわらに座った。

「来年の正月用の着物は,私が縫おうと思ってな。初めての事ゆえ上手に仕上がるかどうかはわからぬが・・・」

「えっ,おかあちゃん,ボクらの着物縫ってくれるん?お母ちゃんが作ってくれるんやったら,ボク雑巾かて嬉しいわ!!」

レンは歓声を上げてルキアに抱きついた。ルキアは無邪気(?)に喜ぶ息子に笑いかけながら言った。

「雑巾では身に付けられぬだろう。」

「頭に乗っけて見せびらかしに行くわ。」

母子は同時にぷっと笑った。笑う母親の顔に見とれながらも,レンは畳に広がる反物に目を走らせる。
ピンクの薔薇の花びらのような撫子色の縮緬はゆなの着物生地であろう。愛らしい色とりどりの手毬柄が施されている。添えられている帯の色は蜜柑色,ゆなにとても良く似合いそうだ。
青みの深い無地の生地は自分のであろうか,レンが反物を手に取るとルキアは微笑んだ。

「おまえは私と同じ髪の色,瞳の色だから青がよく似合うと思ってな。これは川蝉色というのだ。」

「川蝉色・・・嬉しいわ。お母ちゃんが選んでくれたん?」

ルキアは頷くと反物をレンの胸にあて,深い青みがレンの黒髪と菫色の瞳によく映えていることに満足気に微笑むと言った。

「今年は,すべて私の見立てで選んでしまったが,来年は一緒に選びに行こう。」

ルキアの言葉にレンはぶんぶんと頭を振る。

「ううん。一緒には行くけど着物はずっとお母ちゃんが選んで,ボクその方が嬉しいわ。」

「しかし,自分の好みというものもあろう?」

「お母ちゃんが選んでくれるんが,ボクの好みや!」

添えられているくすんだ紫がかった赤色,蘇芳色の帯を締め,川蝉色の着物を着てルキアと二人歩く大人になった自分を想像し,レンはしばしうっとりと夢想にふけった。
しかし,その夢想はルキアの無情な一言で断ち切られた。

「レン,これがお前たちの父のために選んだ反物だ。お前とゆなの着物はすぐに決まったのだが,お前たちの父は銀髪ゆえ似合う着物の色にいささか悩んでしまった。これをお前はどう思う?」

お父ちゃんの着物・・・とたんに顔を顰めたくなるのをかろうじて抑え,レンはルキアが差し出す反物をしぶしぶ見た。
美しい色の反物であった。鳩の羽毛のようなかすかに紫がかった優しい灰色。重さや暗さのない軽やかな色味は父にぴったりであった。添えられているやや暗めの渋い古代紫の帯がきりりと全体を引き締め,長身痩躯銀髪の優男であるギンに,忌々しいがさぞかしよく似合うだろう。

レンは内心の大いに面白くない気持ちを懸命に押し隠し,気が進まないながらも小さな声で言った。

「ええんとちゃう?おとうちゃんによお似合うと思うわ。」

母を喜ばすためにだけ言ったレンの心のこもっていない言葉に,それでもルキアは嬉しそうに微笑んだ。

「そうか,レン。よかった。似合わぬものを選んで正月早々あやつにへそを曲げられてはたまらぬからな。」

「・・・・・」

ルキアが選んだのならたとえ全然似合わない着物だったとしてもギンに異存などあるわけがない。無論,そんなことを母に伝えて父の点数を上げるつもりはさらさらないが,父のことを話しながら微笑むルキアの笑顔は,レンには大いに気に入らないものであった。

ルキアはギンがいないところでギンの事を話すとき蕩けそうな優しい艶やかな笑顔を見せる。
その表情が愛する男を思う女の顔である事を,早熟でませているとはいえ,まだ幼いレンにはわからない。
しかし,幼いながらも男の本能で自分にとって大いに不愉快なモノであることだけは理解できた。

ギンがいる時はルキアは絶対にそんな笑顔を父に見せることはないのだが,いないところでもそんな笑顔はして欲しくはない。自分にだけ向けて欲しい。
残念ながらそのような笑顔を向けられたことはないのだが・・・

レンはふくれっ面にならないように気をつけながら,もう一つあるはずの反物を探した。

「・・・?」

レンの怪訝そうな顔に気づき,ルキアが尋ねた。

「どうしたのだ,レン?」

「・・・おかあちゃんの着物は?」

まさか,甲斐性のない(とレンは思っている)父のせいで母は自分用の正月の着物を我慢したのであろうか?だとしたらレンは自分の着物など欲しくはなかった。
心配げな息子の様子を,ルキアはいとしげに見つめ笑いながら言った。

「私のは・・・お正月のお楽しみだ。」

その時のルキアの笑顔があまりにも美しく,ひどく嬉しげで幸せそうで,思わずレンは息を飲んだ。
レンがさらに質問しようとしたとき,か細い泣き声が聞こえてきた。
どうやら昼寝していたゆなが目を覚ましたらしい。

「レン,ゆなを連れてきてくれ。おやつの時間だ。」

「・・・うん。」

本当はおやつよりもルキアの着物の事を聞きたかったのだが,レンは素直に立ち上がり,ゆなの元に向かった。

その後姿を見送ると柔らかな秋の日差しの中,ルキアは家族のための着物生地をそっと撫で,幸せそうに微笑んだ。



それっきりレンがルキアに着物について問いただす機会のないまま月日は流れ,市丸家は新しい年を迎えていた。

畳も新しくし,庭に面した襖を開け放した明るい日差しの中の座敷できゃっきゃっという愛らしい元気なはしゃぎ声が響く。
手毬柄の撫子色の着物に蜜柑色の帯を可愛らしく蝶結びにしてもらいご機嫌のゆなは後ろの蝶をよく見ようとして,くるりと一回転してしまい,すとんと尻餅をついては,また歓声を上げる。

「ゆな,はしゃぎ過ぎたらあかんよ。新しい着物よお似合うてて可愛えよ♪あとで兄ちゃんと一緒におかあちゃんの姿見に映してみよ!」

足を投げ出して尻餅を付いたゆなの市松人形のような可愛らしさに細い目をいっそう細めながらレンは笑い,可愛い妹を抱き上げた。
実は妹をたしなめながらも,本当はレンもゆなと一緒にはしゃぎたいくらい気分は高揚していた。
ルキアに縫ってもらった川蝉色の着物は自分にとても良く似合っていた。着心地も最高である。同色の羽織りを身につけ,新しい足袋を履いた自分は新年を迎え,また大人になるための目標,母に一歩近づいたような気がしてひどく誇らしい気持ちになった。

早く,身支度を終えたルキアの隣に並びたくてたまらない。ルキアは全員の着付けを手伝った後,自分の晴れ着は着替え終えてから見せるといたずらっぽく笑い,自室にこもってしまったのだ。様子は覗きに行きたいが母の言いつけには絶対に逆らいたくないレンは我慢しているのだ・・・

しかし,こいつは・・・

レンは自分よりも大人げない大人をうんざりとした視線で睨んだ。

「ルキアちゃん,遅いなあ。見に行ったろかなあ・・・」

そう,一家の主であるというのに正月早々落ち着きが無いことこの上ない。
先程からなんども同じことを口にしているこの男,レンの将来の計画の目の上のたんこぶである,レンとゆなの父にしてルキアの夫,市丸ギンである。

レンははしゃぐゆなを下ろすと,床の間を背にした上座から立ち上がった父を見上げ,軽く舌打ちした。
ルキアに見立ててもらった鳩羽色の生地で縫われた羽織りに着物,古代紫の帯を締めたギンは,認めたくはないがなかなか男前だと思う。
性格はともかく(そっくりだと皆が言うがレンは認めていない)父は自分に瓜二つであることは認めているので容姿については文句を言いにくいのだ。どうやら父もそう思っているらしくレンの着物姿を見下ろし軽く鼻を鳴らした。

晴れ着姿で喧嘩をしたくはないが,母の言う事に逆らうのであれば話は別だ。
本当は自分もルキアの様子を見に行きたくてたまらないが,ここでこの大人子供をしっかり抑えて新しい年の最初のルキアからの点数をいただいておくのも悪くはない。

「おとうちゃん,おかあちゃんが待ってろて言うたんやから大人しゅう待っとらんとあかんやん。なあ,ゆな,おとうちゃんは本当に大人げないなあ。」

「おとうちゃ,おとなげないなあ。」

「あー,また,ゆなを味方につけよってからに!ルキアちゃんはボクの奥さんなんやからボクが好きなときに会いに行って構わんのやで。ゆな!」

そう言ってルキアのもとに行こうとするギンの前にレンは立ちふさがる。
ギンとよく似た細い目がうっすらと開眼し一瞬ギラリと緋色に輝く。その子供とは思えぬ凄みのある視線を物ともせずギンの瞳も好戦的に光る。

「行かせへんよ。」

「なんやレン。そこどきぃ!」

「おとうちゃんが席にちゃんと座ったらどいたるわ。」

「お前は本当に一家の主であるおとうちゃんに対しての態度がなっとらんなあ・・・」

「尊敬に値する人物やったらなんぼでも改めたるんやけどなあ・・・」

睨み合う二人の交わす視線が火花を散らし,激しい霊圧の上昇に空気がビリビリと揺れる。
床の間に飾られた寒椿の花びらがひらりと散った。

「やめぬか!このおおたわけども!!」

可愛らしい声が響いた。ゆながいつも二人を諌めるルキアの決まり文句を叫んだのだ。
レンとギンのいつもの小競り合いを見慣れているので怯えもせず,二人を見上げにこにこ笑っている。
とたんにレンの顔は笑み崩れ,ギンの顔にも苦笑が浮かぶ。
怖い物知らずのこの二人も市丸家のアイドルには敵わない。レンは最愛の妹を抱き上げるとすりすりと頬ずりをしながら言った。

「ごめんなぁ,ゆなぁ,でもこれはおとうちゃんが悪いんよ。」

「おとうちゃ,わるい?」

ゆなはレンの言葉を繰り返しながらも,レンに抱かれている自分の顔を腰をかがめて覗き込む笑顔のギンの頬に柔らかな手を差し伸べ,ペチペチと叩いて笑った。ギンはゆなの頭を優しく撫でながら言った。

「悪うないって言うたやろ。ゆなぁ,兄ちゃんの言うことばっかり聞いとったら不良になってまうよ。」

「おとうちゃん,ゆなに変なコト言わんでや!それにボクはええ子や!」

「ええ子がおとうちゃんの悪口を妹にふきこむかいな!!」

「事実や!!」

再び一触即発状態になろうとした二人の緊迫した雰囲気を凛とした声が打ち消した。

「正月早々,また喧嘩か?お前たちは新年を迎えても一向に進歩がないのだな。」

「おかあちゃん!!」

「ルキアちゃん!!」

庭を背にして晴れ着に着かえたルキアが立っていた。
濃い藍地に絢爛豪華な白と赤の牡丹柄の着物に銀色の刺繍が入った緋色の帯を締め,艶やかな黒髪を高く結い上げ,銀の簪でまとめている。
濃藍地の着物になめらかな白磁の肌がいっそう映え,美しい深い藍紫色の瞳を引き立てる。
ほっそりとした優美な首,匂やかに香り立つようなうなじの美しさ,ほんのりと薄化粧をはいた顔は清楚でありながら艶やかで仄かな色気が漂う。
ほんのりと紅を引いた唇は目を反らせないほど官能的だ。

そのあまりの美しさにボーッとしてしまった男ふたりを尻目にゆなが嬉しげにルキアに飛びつく。にこにこと笑いながらルキアの足元にすがりつき正装した母を見上げる。

「かあちゃ,きれい,きれい♪」

「ありがとう,ゆな。さあ,膳の支度もできたから,まずは新年の挨拶をしよう。」

ルキアは愛娘を抱き上げるとギンとレンに笑いかけた。
その笑顔に我に返った二人は遅ればせながらルキアに賞賛の声を投げかけた。

「おかあちゃん。すごく綺麗や。本当に・・・」

「うん,ルキアちゃんすごく綺麗や。その着物よお似合うとるよ。」

「ありがとう,レン・・・・ギン。」

ルキアはほんのりと頬を染めて二人に微笑んだ。若干,父に向ける視線の方が長かったような気がするが,そんなことはどうでも良かった。

(おかあちゃん,綺麗過ぎるわ・・・絶対にボクのお嫁さんはおかあちゃんや・・・)

新たな決心を胸にレンは家族揃っての新年の挨拶を終えると早速,ルキアを手伝ってすでに整えられ,後は並べるばかりになっている膳を運ぶ。

「座っていて良いのだぞ。」

かいがいしい息子に優しく笑いかけながら言うルキアを,レンはうっとりとした視線で見つめながら甘えたように口を開く。

「綺麗なおかあちゃんのこと,そばで見ていたいんや。今日だけやなくていつもすごく綺麗やけど・・・」

真剣に言っているというのにルキアの笑顔は慈愛に満ちた母の表情でしかない。
くすくすと笑い,ルキアは少し背伸びをしてレンのわずかに乱れた髪をなでつけてやりながら言った。

「そういうところは,お前は父にそっくりだな。しかし,そういう言葉は将来好きになった娘のためにっとっておくものだぞ。」

ルキアよりも好きになれる娘など永遠に現れるわけがない。レンは無意識に放たれるルキアのいけずな言葉に凹みながらも膳を運ぶルキアのあとに付いて座敷に戻った。

ルキアは席についた家族全員にお屠蘇を注いだ。お屠蘇は一年間の邪気をはらい長寿を願う意味合いを持つ正月の風習の一つである。普通の酒の席では年長者からであるがお屠蘇の場合は年少者から口をつけていくのが習いである。

「レン,ゆな,縁起物ゆえお前たちにも注いだが口をつけるだけだぞ。飲んではならぬ。」

「うん,おかあちゃん。」

「あい,かあちゃ。」

「それじゃあ,ルキアちゃんも座り。ん,ルキアちゃんの杯はどないしたん?」

ギンの言葉に全員の視線が集まる。見ると,ルキアの膳の上に杯が乗っていなかった。

「む,これは,うっかりしてしまった,すぐに取ってくる。」

「おかあちゃん,ボクが・・・」

レンが立ち上がろうとするのをルキアは制した。

「よい,お前は座っておれ。」

ルキアは優雅に裾をさばいて立ち上がると席をたった。
着物に咲き誇る絢爛な牡丹の花を見るともなしに見ていたレンはひときわ美しい可憐な白い一輪に目が止まった。
そこに止まり蜜を吸うは銀色の蝶・・・なんとも艶めかしいその構図。

その時レンの頭に天啓のように閃くものがあった。

(・・・おとうちゃんの見立てやあ!!!)

つまり先程のギンとルキアの目線は贈られた着物についての視線の会話であったのか?
白い牡丹に銀色の蝶・・・ルキアとギン・・・。
思わず想像してしまった不愉快な映像。レンの心にムラムラと嫉妬が湧き上がった。

ブッチン!!!

レンは目の前の杯に注がれたお屠蘇を一気に煽ると,ゆなのも,そしてあっけに取られ不覚にも隙のできたギンの杯も取り上げ一気に飲み干した。
生まれて初めて飲んだ酒はとろりと甘くわずかに苦く感じた。

「・・・・・・・ひっく・・・・」

耳まで真っ赤になってへたり込むレンに,ギンが言葉を掛けるよりも早く騒ぎに驚き,戻ってきたルキアは,事態を見て仰天した。

「レ,レン,何をしておる。子どもが酒など!?ギン,お前がついていながらどういうことだ?」

駆け寄って,レンを助け起こしながらルキアはきっとした表情でギンを睨む。

「ボ,ボクのせいやないよ!レンがいきなり・・・」

「言い訳はいい!!早く水を持ってきてくれ!!」

ちゃっかりルキアの膝枕で極楽介抱を満喫しながら,ルキアに叱りつけられ,慌てて立ち上がるギンを見上げ,レンはにやりと嗤った。その挑発的な視線と嗤いにギンはすべてを察した。

(おまえ,酔うてへんやろ!!)

(おとうちゃんには絶対おかあちゃんは渡さへんからね!!)

憎らしい息子と視線の会話をかわしながら,ルキアの膝から突き落としてやりたい気持ちを辛うじて堪えギンはレンを睨みつけた。

「ギンっ!!早くせぬか!!」

ルキアの叱りつけるような声に追い立てられ,慌てて台所に向かいながらギンは心のなかで絶叫していた。

(あんのくそガキ―――――っ!!!!)

今年の始まりから市丸家はギンとレンのルキアをめぐる争いの火蓋が切って落とされたようである。

              
〈後編へ続く〉


絶対家族(後編)



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