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嫌悪の媚薬

本人もすっかり忘れていましたが今日はサイト開設2周年でしたm(_ _)m♪ここまで続けてこれたのも心優しき訪問者様のおかげです!拙い小説ですがこれからも気力続く限り頑張ります!皆様,本当にありがとうございます(愛)

例のごとく三番隊にお使いに来ただけなのにギンにお茶に付き合わされるルキア。他愛のない世間話からギンの意外な一面を知る。
「ルキアちゃんは嫌いなものってあるん?」

書類を届けに来ただけだと言うのに,何故か差し向かいでお茶を飲む羽目になった朽木ルキアは目の前の上機嫌な三番隊隊長,市丸ギンを失礼にならない程度にうんざりとした視線で見つめると,かぶりを振った。

「いいえ,特にありません」

強いて言うならあなたですが……という言葉は辛うじて飲み込む。

「ふーん,そら残念やねえ」

ギンはお茶うけに出した干し柿に豪快にかぶりつきながら言った。
自分に嫌いなものがあったら,次回来た時には山盛りで出されたかも知れない,ルキアは心中密かに安堵した。

「なあルキアちゃん,大嫌いなもんのこと好きになったら,どうなるか知っとる?」

「は!?」

思いもよらぬ質問にルキアは戸惑った。

「好きなもんのこと嫌いになったらそれで終いや。でも,嫌いなもん好きになってもうたらどうなると思う?」

「どうなる…とは?」

質問の意図がわからずぽかんと己を見つめるルキアにギンは二個目の干し柿に手を出しながら答えた。

「もう離れられんくなるんよ。麻薬みたいに溺れて,それなしではどうにもいられんくなる……」


「市丸隊長は嫌いだった物がお好きになった経験があるのですか?」

妙にリアルな言い方にルキアの好奇心がわずかに動いた。

「ん――ボクにとってはこれやね」ギンは己の大好物をルキアに示した。

「干し柿をお嫌いだったのですか?」

驚きでルキアの瞳はまん丸に見開かれた。
三番隊隊舎の裏に自分で柿の樹を植えて自家製の干し柿を作るほど,ギンの干し柿好きは有名である。そのギンが,かつて干し柿が嫌いだったとは……
そんなルキアの表情を読んだようにギンはいたずらっぽく笑った。

「そうや,ボクがこんまい頃,食べ物なかった時に初めて作ったんが干し柿やったんよ。素人の子供が作ったもんやもん。どんな味だったかわかるやろう?」

「はあ……」

おそらく,渋も抜けきらず作る過程で傷みも出たのではないかとルキアは想像する。

「それでも,腹は減るから食べなあかんやろ。ちゃんと三食食べられる身になったら二度と干し柿なんぞ食べんって当時は思っとったね」

「どうしてお好きになったのですか?」

好奇心に駆られルキアは問い返した。

「ボクの作った出来そこないの干し柿の中に一個だけ,美味いのがあったんよ。
えらいええ香りでとろけるほど甘くて夢のような味やった……たった一個だけやったけどな。
それがボクにとっては天啓みたいなきっかけやった。以来ボクの大好物は干し柿になったんや。嫌いな気持ちの反動で,手元にあるうちは手放せんくらいなあ」

ルキアは少しだけ笑った。意外だなと思えたのだ。一見人当たりの良い笑みを常に浮かべ他人に愛想よく振舞うが,その実,人にも物にも執着を持たない好き嫌いの激しいこの男がたった一個の干し柿で今までの考えを翻すとは。

「興味深いお話ですね。たった一個の干し柿がきっかけで嗜好が変わってしまうなんて」

「想う相手も,同じやと思わん?」

するりとギンはルキアの隣に座っていた。その動きのあまりの滑らかさ,自然さにルキアは一瞬対応が遅れた。慌てて身を引こうと立ち上がりかけたルキアの腕をギンはくいと引いた。バランスを崩され倒れこむようにルキアはギンの胸のなかに抱き寄せられてしまう。

「は,離してください!」

慌てふためき身を捩るルキアの耳朶に唇をよせギンは内緒話を告げるよう言葉を紡いだ。

「キミはボクのこと嫌いやろ?ボクもキミのこと嫌いや……」

びくりとルキアの身体が震えた。

「…っ…わ,私が嫌いなら無視してくださればいいではありませんか」

「嫌いと無関心は違うんよ。相手を本気で嫌うっちゅうことは,好きっちゅうこととほとんど変わらんのや」

ギンの艶やかな言葉が歌うように響く。

「そんな,馬鹿な!!」

「嫌いな相手のことはずうーっと考えてしまうやろ。好きな人のことよりもずーっと長くなあ。まるで恋焦がれているみたいに……」

「……!?」

ルキアの表情が強張った。その通りだったから。ルキアは大嫌いなギンのことが片時も頭を離れることがなかった。
敬愛する義兄,優しい十三番隊隊長,淡い恋心を抱いている副隊長のことでさえ比べ物にならないほど頻繁に,この大嫌いな男のことを考えていたことに気づきルキアは愕然とした。混乱し,戸惑うルキアの様子を楽しそうに見つめながらギンは優しく諭すように言葉を続ける。

「ルキアちゃん,嫌いって思いは,ゆっくり効いてくる毒に似た媚薬なんや。
なんかのきっかけで好きに変わったら,もう逃れられへん。堕ちていくだけや……」

「そ,そんなこと……それに私は,まだ貴様が嫌いだ!!」

ルキアの言葉にギンはくくっと楽しげに嗤った。

「まだ……なんやね」

自分の言葉にルキアははっとした。自分の言葉に頬が赤らむ。

「上げ足を取るな!!貴様など大嫌いだ!!」

「ボクも干し柿のこと,そう思うていたよ」

「ほ,干し柿と一緒にするな!!」

「きっかけが欲しいん?せやったら何ぼでもあげるわ」

ギンはルキアの艶やかな髪を撫で愛おしげに耳もとで囁いた。

「ルキアちゃん,好きや……愛しとる……」

「……!?さ,さっきは嫌いと……」

ルキアの頬がみるみる赤く染まり,菫色の瞳が見開かれる。
ギンはうすく笑い,いっそう甘く優しく耳もとで囁く。それは耳に注がれる甘い媚薬。

「……嘘……」

「どちらが…嘘……?」

問いには答えずギンはルキアの頭を慈しむように撫でる。聞き分けの無い子供を宥めるように。
しっかりと抱きしめられて身動きができない。いつの間にかルキアはギンの隊長羽織をぎゅうっと掴んでいた。そうしなければその大きな背中に腕を回してしまいそうで……
ギンは震えながら顔を背けるルキアの耳にくちづける。
今頃気づいてももう遅い。キミの体と心にはすでに嫌悪の媚薬はまわっている,そして己の体にも。後は繰り返し味わい,貪るようにただ溺れるだけ。

さあ,堕ちておいで 愛しい子…



          〈END〉

あとがき
愛しているのが嘘?嫌いといったのが嘘?ギンにはどちらも嘘でどちらも真実。でも,きっと愛なんだよ。



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