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つれない彼女とチートな彼氏

『切なさなんか知らない』の続き的なギンとイヅルのSSです♪クリスマスイブに向けてルキアとの甘い夜を計画するギンに非リア充のイヅルが付き合わされております(*´艸`*)
現世―繁華街

全く上にたつ者が自由奔放だと,部下はほぼ奴隷認定だ。護廷十三隊三番隊副隊長吉良イヅルはため息をつく。まあ,ぼやきながらも結局許して甘やかしてしまうのは,あの上司の人徳というやつかもしれない。

(朽木さんもなんだかんだ言いながら,隊長のわがまま受け入れちゃってるし…)

と胸が痛むのは考えないフリ。上司には胃を痛めつけられているのに,その恋人には心臓なんてやりきれない。
はぁ…イヅルは再びため息をつく。
僕の好きな人は胸の奥でさえ名前を呼べない人なんかじゃない…多分

(こんなんだから僕は不憫草が咲き乱れているなんて言われるんだよな)

やや先行気味に歩く己の上司を横目で睨みながらイヅルは昨日のやりとりを思い返していた。



尸魂界――三番隊隊主室

「可愛え可愛えルキアちゃんのための年に一度のクリスマスやん!全身全霊を込めてプレゼント選びをせな!イヅル現世まで付き合うてや」

あいも変わらず仕事中であるというのに通常運転の上司三番隊隊長市丸ギンが唐突に叫んだ。
クリスマスは世界中の人のものですよと言いたい気持ちを抑え,100%無駄だとわかっていたがイヅルは断りの言葉をくちにする。

「勘弁してくださいよ…それにこういうものは女性に相談したほうが」

「乱菊に頼んだかて趣味が真逆なんやから碌なもん選べるわけないし,逆にたかられるわ!それに他の女の子に頼んだりしたらルキアちゃんにあらぬ誤解を受けるかもしれんし」

「他をあたってください」

「じゃあ,しゃあないわ。雛森ちゃんに付き合うてもらおかな。優しいしルキアちゃんのため言うたら絶対ことわらんしぃ…」

「わかりました…(このあいだは他の人が選んだものをあげるなんて出来ないだとかカッコいいこと言ってたくせに…くちだけは達者なんだから)」

先日酒の席で乱菊から,ギンにルキアへのプレゼントを自分が選ぼうかと持ちかけたら,あっさり断られたと聞いたことを思い返しイヅルはブチブチとぼやく。

「相談するだけやし,それに男はノーカンや」

(訂正,さらに地獄耳…)



―――現世

「待たしたかなぁイヅルぅ♪」

「待たしたかなじゃないですよ。15分の遅刻です」

笑いながら近づいてくる上司の私服の着こなしは現世でも相変わらず隙がない。
フロントを開けた黒のロングコートにインナーはVネックチャコールグレーの八分丈カットソー,アクセントにクロムハーツのチェーンネックレスが長い首の色気を際立たせている。アンダーは黒い細身のパンツにジョン・ロブのライトブラウンのダブルモンクの靴を履いた姿のギンはラフでスマートな印象を与えた。
自分といえば鈍色のタートルネックにケミカルブリーチのデニムパンツ,ダークグリーンのハーフコートにミリタリーブーツ姿である。方向性は違うけれど決して見劣りはしないと思うのだけれど…
イヅルの姿を見てギンはからかうように口を開いた。当然遅刻への謝罪の言葉ではない。

「ワイルドに決めたいんやったらタートルネックはないんやない」

「デートでもないのに,そこまで決める必要もないでしょう」

「まあええわ。行こか」

自分の言葉がなんとも負け惜しみじみて聞こえる。くるりと背を向けてコートを翻した上司の足元を軽やかな風が舞う。

(そこそこ気合入れたのに…ダメだしか…)

不満気な顔ではあったがイヅルの顔はそう不機嫌そうでもなかった。



現世―繁華街遊歩道

「まったくええ男が二人連れで歩いとると女の子たちがほっとかんのだけは困りもんや」

逆ナンしてきた女達を機嫌を損ねぬ程度にそつなくお断りした後,ギンは軽くため息をついた。
そんな上司を横目で見ながらイヅルもボヤく。

「それ以外にも気づいてると思いますけど隊長と一緒に歩いてるとそっち系の人たちに隠し撮りされまくるから嫌なんですよね(僕が受けだとか思われてんだろうな…ヤメて欲しい)」

「なにそれキモっっっ!?ボクの身体は頭のてっぺんから爪先までルキアちゃんのものやで!そんな想像されてるだけで気色悪いわ!射殺しとうなる!」

「こっちだって願い下げですよ。そもそも朽木さんを誘って来たほうが女性避けにもなったでしょうに」

「今回はサプライズにしたいんやもん。だから嫌々イヅルに付き合うてもろとるんや」

「…少しは言動をオブラートに包んで下さい」

この横暴上司は部下の休暇を何だと思っているのだろう。
本当なら決死の覚悟で五番隊副隊長雛森桃のクリスマスの予定を聞こうと思っていたのに。もっともあくまで聞くのであって誘う勇気がない自分はヘタレだと思うけれど…


ブティック――

若い女性向け被服や靴,アクセサリーを専門に取り扱うショップに躊躇いもなく男二人連れでよく入る気になれるものだ。この神経は見習いたいようなないような…場違いの男同士の来店にも洗練された接客態度を崩さない店員の態度に感心しているイヅルを尻目にギンはあれこれと服を物色し,サイズを細かく指定し,お直しの指示も完璧にこなしていく。

「ふむ…この生成り色のケーブル編みVネックのポケット付きのロングニットカーディガン,色はインディゴ・ブルーのを,それとワインレッドのフレアロングスカートを合わせてもらうわ。足元はもふもふフェイクファー付きの黒のショートブーツがええな♪」

流れるように買い物をこなしていくギンの姿をぼうっと見ていたイヅルははたと気付きゲンナリとぼやく。

「一人で来ても買えたでしょう…」

「他人の意見も聞きたいんや」

「ああ,もう…何着たって朽木さんは可愛いですよ!」

「当たり前やん♥ボクのルキアちゃんなんやからぁ」

全くこのマッチポンプっぷり…自分で振って自己完結してしまう会話ならひとりごとでも言ってればいいのに…イヅルはこめかみを押さえ,ため息を堪える。

(もうヤダ…このひと…)



洋菓子店――

ギンは何軒かの超有名洋菓子店をまわり,パンフレットを手にひとしきり悩んでいたが,いまいち希望のケーキがないようだった。

「ま,特注する手もあるけど,この際やからクリスマスケーキも手作りしようかなぁ」

「作れるんですか?まあ,隊長は器用だし,ありかもですね。で,どんなのを?」

「候補としてはこんな感じや。これ試作品」

イヅルは伝令神機に写るケーキの映像に一瞬絶句した。3段のスポンジに果物と生クリームの繊細なデコレートに加えてクッキー,マカロン,マジパン細工などで飾られた夢のおもちゃ箱のようなケーキ。
何このサイズとプロ並みの出来栄え…

「どんだけ器用なんですか貴方は!!」

「愛の力や♥」

(パネぇ…この人…朽木さんのためならどれだけチートになれるんだろう…)



映画館――

「デートコースの中には映画も組み込んどきたかったからチョイスしたんやけど,シティーボーイの話て聞いとったのにさっきからごついおっさんしか出てこんな」

「………これはどう見てもシティーボーイではなく指定暴力団の映画だと思うんですが(カキワリ見てわかるだろ普通!!!!)」

「そっかぁ,舞台が熱海だから変だと思ったんや」

「朽木さん,誘う前に内容は確認して下さいね……」

「ま,せっかくやから見てこ」

「僕…血が苦手なんですけど」

「死神が何言うとんねん」

「仕事とプライベートは分けて考えてるんです」

映画中にぶつぶつと珍妙な会話を交わすふたりの後ろで

(何だろ,この残念なイケメンたち…)

と後ろに座っていた客がこめかみに手をあてていることも知らずに。



おおよそのプランがたった帰り道。

「隊長,料理もケーキも作れるんならいっそ家デートにしてはどうですか?」

特別な装飾や雰囲気もこの男ならお手のものであろう。イヅルの言葉にギンの薄ら笑いが引き,拗ねたように口許が歪む。

「それ最初に提案したんやけど家デートは最近ルキアちゃんがいやや言うんや。映画にしろ,ゲームにしろ家では寛ぐ暇がないて」

「なぜですか?」

「ん―,ついつい別のコトしてまうからかなぁ」

(聞くんじゃなかった…)

結局,休暇をまるまる一日潰され,ギンの言うところの完璧デートシュミレーションにイヅルは付き合わされた。イヅルはそれでもルキアの喜ぶ顔のお裾分けをもらえるのならと諦めていたのだが,コトは思わぬ方向に転がった。



尸魂界――三番隊隊主室

つぎの日三番隊隊主室に出仕したイヅルは珍しくも隊長机に座っている己の上司を見て驚いた。しかも手元を見て更に驚愕した。仕事してるよ,この人!!

「隊長!どうしたんですか体調でも悪いんですか???四番隊に行きますか?ああ,それとも卯ノ花隊長をお呼びして!!!」

発言が下手な駄洒落になってしまっているのすら気づかずイヅルはギンに矢継ぎ早に問いかけた。
まさか,昨日の己の行動を反省して仕事をきちんと済ませようと殊勝なことを考えて早朝出勤をしたのかと淡い期待がイヅルの胸を掠めたが,顔をあげた上司のどんよりと苦虫を噛み潰したような顔にそんな甘い考えは一瞬で雲散霧消した。

「ルキアちゃんに言われたんや…クリスマスイブは…世話になった人たち呼んで鍋パーティするんやて…ボクんちで…」

ルキアはともかくギンは迷惑をかけたの間違いではないかというツッコミは置いといて,これはなんとまあ…
イヅルは笑いを堪えるために後ろ手に回していた手で腰をつねった。

「ま,まあ,いいじゃないですか隊長は最初っから家デート希望だったんですし」

「二人っきりやないと意味ないやん!!!それにクリスマスまでにきちんと仕事済ませられないんやったらボクだけ鍋パーティ出席したらアカンのやって!!ボクの家なのに!!せっかくルキアちゃんのために最高のデートプラン用意したのにボクの苦労はどうなるんや!!!」

仕上がった書類を腹いせのように紙吹雪のように撒き散らしながら仕事をこなしていく上司を見やりイヅルは肩をすくめてため息をつく。本当にまるっきり子供だこの人は…

(それなら付き合わされた僕の昨日の苦労はどうなるんですか…)

胸の内でぼやきながらも,この老獪を気取る性悪狐を完全に手玉に取っているルキアの凛とした姿を,困ったような優しい笑顔を思い浮かべているとそんな想いを押しのけて心は痛快で爽やかな気持ちに満たされていく。

(大したものだよね君って人は)

イヅルは胸の奥からゆっくりと上ってくる微笑みを上司に見せないようにわざとらしく書類を拾い上げ始めた。


          END


あとがき
さてさて次回はクリスマスイブ鍋パーティーSSで完結の予定です♪かなえ様長らく待たせてごめんなさいm(_ _)mしかし,年内にUPできるんだろうか…









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