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ルキア…その名を呼ぶものよ

一護…この世界線のなかには彼は存在しません。でも魂の絆は決して無関係ではないと信じてこの超SSを書きました。もう書けないかもと弱気になっていた私の世界線のなかのギンが笑ってくれたような気がします。
あの2人が私も本当に本当に大好きでした。ギンルキ前提なのですが、この話はルキアと橙色の髪の少年を心から愛していた方たちににささげます。



 夜空に無数に輝く綺羅星のごとく無限に広がる世界線…それは決して夢でも幻でもなく信じぬ者の心の中にさえ、その存在を許される久遠。

彼岸の国、尸魂界―

 そこは名もない小さな丘…かつて…いやこの世界では起こりえなかった事象が起こっていた場所。
とうに日も暮れ星が瞬き始めている夜空の下、一人の小柄な少女がたたずんでいた。
美しい少女であった。人形のように整った端正な顔立ち、この世界の宝玉を集めたよりも尊い紫紺の瞳、艶やかな黒髪、立ち姿だけでわかる洗練された優雅な佇まい。麗しい夜の化身のような美少女であった。
しかし、誰もが微かな微笑みさえも跪いて懇願するに違いない愛らしい可憐な唇は固く結ばれ、冷徹なようでいて優しい光を常に宿している紫紺の瞳は涙にぬれていた。
カサリ…
わざと立てたような背後の気配に少女はゆらりと踵を返す。

「ギン…か…」

月の光を集めたような銀色の髪、長身の青年が少女の背後に立っていた。表情をうかがわせぬ笑んだような切れ長の瞳、だが常ならば人を喰ったような笑みをたたえる口元は今夜は皮肉の色をにじませてはいない。

「泣いとるの?ルキアちゃん…」

ギンと呼ばれた青年は静かに少女の名を呼ぶ。

「ギン…悲しいのだ…胸が張り裂けそうなくらい…でも…なぜ悲しいのかわからない…どうして…どうして私はこんなにも悲しい?こんなにも苦しい?
この涙はいったい誰のために…」

説明のつかない激流のように押し寄せる感情に翻弄され、手近な木の幹ににたたきつけようとした小さな拳をギンは掬い込むようにうけとめる。

「こないに握り込んで…爪喰い込んどるよ…」

血のにじむ小さな拳をギンはいたわし気に撫でる。しかし、ルキアは振り切るように拳を引くと叫ぶように問うた。

「ギン…教えてくれ…私はいったい誰のために泣いているのだ…誰のために…」

ゆっくりとギンの瞳が開眼し、ルキアの問いかけるような瞳を見つめる。
己を見つめる、その澄み切った白藍の瞳のなかにルキアは答えを見つけたかった。

きっと…きっと…ギンなら…

しかし、銀髪の青年はその問いには答えなかった。ただ少女の顔に頬を寄せあふれる涙を舌ですくい唇でうけた。

「ルキアちゃん…おうち帰ろう」

「いやだ!帰らない!」

「…さよか」

ギンは駄々っ子のようにいやいやと頭を振るルキアを抱き上げ草の上に座ると膝の上に乗せた。
護るように庇うように優しく背後から抱きしめる。

「なら、キミが思い出すまでこうしてたげるから…」

少女を促すように銀髪の青年は星空を見上げる。滑るように一条の星が流れ、夜空に銀色の軌跡を残していった。
泣きぬれたまま夜空を見上げるルキアの瞳の中に満天の星が輝いているに違いない。こんなにも悲しみに暮れる恋しい少女の問いかけに答える言葉を己は持たない。

でも…

(この世界では決して知ることのない絆や…それでもキミは…)

星はいくつもいくつも流れ、人知れず流す無数の涙のように夜空を駆けていく。

魂の奥でつながる想い…


 微かに頭を振ると、ギンはかけがえのない己だけの奇跡を抱きしめて瞳を閉じた。
この世界では決して出会うことのないルキアと橙色の髪の少年の絆を静かに悼みながら…





あとがき
幾千幾億もの世界線のなかにある数多の未来が皆さんの心をいつか癒してくれますように(愛祈)





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