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一片の雪のように…

いつも隊務中に仕掛けられるギンからの戯れに警戒態勢をくずさないルキアなのだが、内心のところは果たして…
 蜜のような柔らかな陽射しがさしこむ穏やかな午後であった。にもかかわらず、瀞霊廷三番隊隊舎、隊長室ではいささか濃密な時間が流れていた。
わずかに苦し気ながらも、それを上回る艶やかな吐息と甘く溶けそうなほど耳に心地よいあえかな呻き…

「んんっ…ぅ」

(本当にどうしようもないな…この男は…)

 恋人である三番隊隊長市丸ギンに抱きすくめられ,濃厚なくちづけを受けながら朽木ルキアは胸の内で嘆息した。書類を届けに来ただけだというのに,どうしてこうなってしまったのか。
もっとも、このような状況に陥ってしまった落ち度(?)はルキアの方に全くないというわけでもない。そもそも, ギンが珍しく仕事に集中しているようなので油断してしまったのだ。いつもなら業務都合で三番隊を訪れた時は,縋るような巧みな恋人の誘い文句をやんわりと拒絶しつつ捕獲される射程距離内には近づかないルキアなのであったが,急務ではないが重要な書類であったため副隊長のイヅルの机にではなく隊長であるギンの机の上に置こうとしたのが運の尽き,あっという間に長い腕に絡め取られこの始末だ。こうなってしまうと自力で逃げることも,振りほどくことも不可能である。
 昼日中に隊長室での不埒な行為に,咎め立てしたい気持ちは山々だが,逃げられぬ以上、下手に騒ぎ立てるよりもこの厄介きわまりない恋人の気が済むまで身を任せるしか術はない。それに,本人も流石に恋人との睦言を他人に見られることを恥じる常識は持ち合わせているため(本当は持ち合わせてない…ルキアが嫌がるからである)三番隊に近づいてくる霊圧を察知すれば身を離してくれるのでルキアは捕まった以上,それは己の落ち度と観念し,抵抗しないことにしているのだ。この熱情の嵐がおさまるまでは…

 そうは言ってもこのまま好き放題にさせていると色々とさしさえが出てくるのだけれど…自分ではなく主に恋人の方が。
ギンのくちづけは長くて丁寧なのに,どこか野性的で猛々しい。まるでゆっくりと捕食されているようだ。そして,捕食されているうちにルキア自身もギンを捕食しているような気持になってしまう。ギンと経験するまでは,未経験ではあれど乙女らしく想像を巡らせたものだ。くちづけというものは優しく触れ合い,あえかなときめきを与え合うものなのだと。
しかし,初めてくちづけられた時から,ギンとのそれは与え合うというよりも激しく奪われ、自身からも奪うことを求められた。それでいて,そのくちづけは蜜のように蕩けそうなほど甘く、媚薬のようにルキアの官能をとらえて離さない。くちづけだけで、頭に霞がかかり、腰砕けになって意識が保てないほどに…
結局、流されてしまうままに許してしまうのが悔しいけれど,これがこの男の愛だから仕方がないとルキアは微かな反発を諦観でごまかしてしまう。
そう,愛なのだから仕方がないのだ。



(キミのなかの葛藤はオイシイわ…)

 瞳を閉じ頬を赤らめ,微かに眉間にしわを寄せながら受け入れるルキアの顔をギンは、はんなりと開眼しながら堪能する。
ルキアとのくちづけは美味しい,不本意そうにしぶしぶ受け入れながら,少しずつ柔らかく絆されていくさまにゾクゾクする。無理矢理奪いつづけているうちに,咎めるように抵抗していた細い腕から力が抜けていくのも好き…心ならずもボクに気持ちが向いたことがすぐわかる反応が好き。柔らかな唇が緩み,おずおずと小さくくちを開いてボクを許すのも,優しい舌が恥じらうように応え始めるのも可愛らしすぎて,くちのなかの隅々まで繊細に蹂躙してあげたくてならない。もちろんくちづけだけで済むわけがないことは,申し訳ないなと(少しは)思うのだけれど,ルキアが可愛いからいけないのだ。泉のように湧いてくる欲望をギンは最終的にルキアが悪いのだと割りきってしまう。
そう,ルキアが可愛すぎるからいけないのだ。



 呼気を与えるために名残惜しげに離された男の唇は笑んでいる。相変わらず不真面目そうな小癪な口元,だがキライではない。薄く形のいい唇が言葉を紡ぐ。

「ルキアちゃんのくちんなか,めっちゃ温うてきもちええ」

「おまえの唇も舌もひやりとする,最初はいつもひやりとする」

ルキアは息を整えながら言葉を返す。
体温が低いからなのだろうか,ギンの肌も唇も触れた当初はいつもひやりとしている。

「美味しゅうない?」

「……」

 雪の日に戯れに天に差し出した舌さきにふわりと蕩ける淡雪のよう、微かに冷たい…ギンの舌が己の熱でほとびていくのが嫌いではなかった。他の全てにおいて主導権を取られているものだから体温だけはこの男に与えられることが本当は嬉しい。

「ボク,キミの体温と馴染んでいくの好きや…」

どきりと鼓動がひとつ早く打ったのをときめきだなどと断じて認めたくはない、認めたくはないのだが、いったいいつのまに、この男をこんなにも恋しいと思うようになってしまったのだろう…見透かされたような言葉に,答えぬままルキアは細い腕をギンの首にかけ抱きしめる。温もりが肌の上で溶け合い境界がなくなっていく感じが好きだ。舌先から始まる愛おしい熱の伝達が身体の隅々に,爪の先にまでさえ届いた時にはもう何も考えられなくなってしまう。

「ん…」

再び唇を合わせれば,どちらからともなく舌が伸ばされ互いの咥内で踊るように交わり戯れ合う。ああ、舌を絡めとられるだけでどうしてこんなにも粘膜が蕩けそうなほど気持ちがよくて背筋にふるえるほどの甘い疼きが走るのだろう。

ちゅくちゅく…っちゅ…ぴちゃ…ぷはっ…はぁ…はぁっ

「…ふっ…ぅ…ギン…だめ…だ…激し…っ…」

 呼気を与える合間にこぼれる言の葉すら色づいているように思える…
とろりと潤む藍紫の瞳,上気した桜色の頬,ルキアの唇からこぼれる己の名はひどく甘い。
愛しさで息ができない。呼吸を奪いながら煽り立てて,くちづけだけでイカせたい
小さな甘い舌を優しく吸い,柔く舌を絡ませルキアの動きを誘う。
がっつくつもりはないのに,(これでも)性急に求めたくなる気持ちを抑えながら優しくなぞるように舌を合わせ擽り煽り立て求めさせるように仕向けていく。美味しそうに応え始める唇と舌,優しく甘咬み、刺激に敏感にさせてから不意打ちのように口蓋を舌でなぞれば喉の奥が震えるのがわかる。美味なる唇を重ね合い,思いを込めて吸い合う。

「んっ…ぅ」

ルキアの肩が震え身体がビクビクと小刻みに震えた。軽くイッてしまったようだ。

(可愛え…)

 子供っぽい満足感と同時に高ぶる欲望が、己の中の雄を煽る。
少女の口許から互いの唾液が零れるのが惜しい。
繊細な顎を持ち上げ促すと、ルキアは拒絶することなく,こくりと喉を鳴らす。
嚥下を確認するとギンの口角が満足気に上がる。

「ちゃんと飲めたなぁ…ええ子や…」

軽く眉を寄せた,責めるような切なげな視線が堪らない。
盛りすぎているのか喉の奥がやけにくすぐったい。
流石にここでこれ以上は出来ないけれど,あぁ,もう夜が待ちきれない…

息を乱し、己の胸に縋るルキアの艶やかな髪を撫でながらギンはうっとりと腕のなかの恋人に思いを馳せる。

本当にルキアちゃんはいつも真面目を装ったボクに騙される。それはもう何度も何度も、面白いほどに…ルキアちゃんは頭の良い子だし,勘もいい。それなのに,恋人になる前よりも頻繁に,なぜそうやすやすとボクに騙されるのだろう。以前、尋ねたらこう答えられた。

「恋人を信じないで誰を信じるというのだ?私はおまえに何度騙されようとも性懲りもなくおまえを信じて一生騙されてやる」

ああ,感動で胸が満たされていく。キミはどんなことがあってもボク(の性格の矯正)をあきらめないと宣言してくれる。こんなにも可憐な少女であるのに、そんな男前な愛が眩しくて嬉しすぎて胸が(多少)痛いが,多分これからも間違いなく己はルキアに嘘をつき続けるのだろうとギンは思う。

(かんにんなぁ,キミが信じてくれる限りボクはキミを騙し続ける思うわ。それも全部愛ゆえやけどな…)

身勝手だとわかっているけれど許してくれるからこそ自分は嘘つきでいられるのだ。
だってキミへの愛だけは嘘じゃないから。

(キミの体温が優しすぎるからボクはどんどん我儘になるんよ…)

だから、これからもこの嘘と我儘を受け入れてと願わずにはいられない。
一片の雪のようにその嘘を味わって溶かしてほしい、キミのその温かさで…
ギンは可愛らしく息を乱す愛しい少女に再び己の唇を重ねた。





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お元気ですか

こんばんわ!コクさんの地域の復興はいかがでしょうか?と、様子を伺うために訪れたらまさかの新作!すぐに拝見させて頂きましたw
キスだけの描写なのに、相変わらず艶やかで官能的なコクさんならではの表現力を久々に堪能させて頂きました・・・
前記事に書かれていましたが、これだけギンルキ沼にはめ込んだのは(たぶん)私!と自慢しても良いですか⁉
やっぱり原作効果かあちらの勢いは下降しても、ギンルキは今でも楽しんで妄想できちゃうのがいいところですよね^^
新しい萌えも発掘し書きたいと思いながらも、サイト更新のためにまずはギンルキ挙げてからにしたいとも思ったり。あ。ちなみに少し前に短い駄文をあげましたので、もしよければちょっとした時間つぶしに覗きに来てください。決して面白い出来ではないですが、本日とうとう表も裏もカウンター1を記録してしまいました。需要ないから仕方ないし意外に粘ったと思いますけどねw
なんか自分の事ばっかりべらべら本当に失礼しました。生活はちゃんと復興していますか?これから寒くなっていきますので、皆さまお気をつけください。
コクさんへのメッセージ久しぶり過ぎて、メールかツイッターか拍手かコメか結構悩んでしまいましたが、どうぞお元気にお過ごしください^^

私は元気です(*^-^*)みさをさんもお健やかでありますように

みさをさん、こんにちは!久しぶりの投稿を早速読んで頂いて嬉しいです、身に余るお褒めのお言葉にも感涙しきり…ギンルキ沼に引き入れて下さったみさをさんにも感謝しきりです。あれから、3年経っても、まだ立ち直り切れていないのに、作品を書きたいという気持ちだけは抑えがたいのが、ありがたいことです。ただ、あのオサレ〇(←お好きな言葉をどうぞw)野郎のせいで赤毛のアイツをわき役にでも入れたくなくて作品の内容の幅がますます狭くなりそうなのが困ったものです。
みさをさんの作品も読ませていただきました。素晴らしい設定と面白さに、キャラさえオリジナルにしてしまえば投稿できるのではないですかコレ!?と羨望しっぱなしでした。もっと長い物語も読みたい―――!!!(すみません、欲望がはじけましたw)
お礼コメントの物語も全て読みたいですが特に『3文ゴシップ(仮)』、もうめちゃくちゃ読みたいです(もちろんR18もどっぷりと!)あの話のなかのギンとルキアにもう一度会える、兄様や蒲原さん、夜一さんまでからんだらもうお祭りですよ!!久しぶりに滾らせて頂きました!ありがとうございます、おごちそうさまです(愛)でも私のお腹はまだまだ飢えておりますw
震災の方は一部の地域を除き、ほぼ日常を取り戻しつつありますが余震が中々静まらないのが気になる所です。
後、私事ですが、ご存知の通り、私はよく鰤の夢を見てしまいます。そして、たいてい一護をボコボコにするのがお約束だったのですが、先日、少々趣の違う夢を見ました。
私は自転車に乗って走っていました。
何かを探しているような、求めているような…苛立つようなやり場のない焦燥感に何だかえらく口調が荒くなっていて
「ああ、かったりー」
くちをついて出た言葉はどこかで聞いた事が有るような…
横断歩道を渡り終えた後なぜか足が止まり、私が振り向いたその先に白いコートを着た黒髪の小柄な少女が自転車に乗って走ってきました。私は自転車を投げ出すようにおりて、彼女の前に立ち塞がりました。
少女は信じられないように私を見上げ、唇から出た言葉は…
「一護…」
「奇跡だな…」
自分の言葉なのに震えるほどの感動と万感の思いが伝わってきて、胸が熱くなりました。
私は自転車からおりかける彼女の自転車だけを突き飛ばして、少女を抱きしめていた。
背中に感じるルキアの小さな手のひらの暖かさがあまりに幸せで泣いていました。
夢の中で私は一護だったんです。
ルキアちゃん、小さくて柔らかくていい匂いで…目覚めたくないほど幸せな夢でした。
無論、現実は非情で朝ごはんを求める夫と娘の声で目を覚まさせられました…orz
でも、なんだかこの夢が少しだけ創作する勇気をくれたような気がします。
なんだか、お返事だというのに長々と自分語りになってしまって申し訳ありません。また、ぜひいらしてください。今度はR18でお迎え出来たらなと思います(愛)

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