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ボクが喰らうのはキミのすべての希望

朽木邸に帰りたくないルキアの秘密の場所になぜかギンが現れ、夜を過ごすことになるが…
瀞霊廷をみおろす小高い丘の上に樹齢2000年ともいわれる大樹がある。
幹が太すぎる上に登るのを助ける枝もないというのに,一人の少女がこの大樹の先端近くにある太い枝の上に座っていた。
この荘厳な樹の唯一,人が座れる場所,少女は大樹の上から夜空を見上げていた。

艶やかな黒髪,白磁の肌,澄んだ菫色の瞳,美しい少女であった。
彼女の名は朽木ルキア,護廷十三隊所属,四大貴族朽木家の養女,人もうらやむ身の上にあると言うのに,少女は憂いに沈んでいた。
今日はいつにもまして朽木の邸には戻りたくはなかった。あの屋敷にルキアの居場所はなかった。

気高く冷たい義兄とはほとんど会話もなく,質問をされれば答えると言う親しみさえ感じられない関係。
自分は何のために朽木家の養子になったのだろう。
自分になど何の価値もないと言うのに・・・。

下衆な輩がくちさがなく言う噂。義兄の亡くなった奥方にそっくりの自分を愛人として引き取ったと言う・・・その方がまだ納得がいくというものだ。
最も義兄がそのような下賤な思いを抱く輩ではないことは初めて会ったときからわかっていたが・・・。

義兄が自分に何を望んでいるかわからぬ以上,誇ってもらえるような自分にはなれなくても,せめて朽木家の恥にならぬよう努力はしている。
しかし,まだ席官にもなれず,不甲斐ない自分の才能のなさを嘆く日々。

隊舎の仮眠室に泊まろうかとも思ったが朽木邸から通っている自分が何の理由もなく隊舎に泊まったりすれば,また余計な噂を煽ることになる。
これ以上妙な噂の中心となって朽木家の恥になることだけは避けたかった。


(このまま,星を見ながら夜を明かそうかな・・・)

幸い今夜はそう寒くもなく,この夜空を見る限り雨も降らないだろう。
明日邸に戻った時に朽木家の執事である清家に隊舎に泊まったといえばいい。

野宿をしようと決めると,少し気が楽になった。
思い出されるのは,南流魂街78地区戌吊での恋次と仲間たちと共に暮らした日々,貧しい心もとない暮しであったが,幸せだった。
肩を寄せ合い,わずかなものを分け合って,それでも家族と思える者たちとの暮らしは今の朽木家での何不自由ない暮らしの数十倍も温かであった。

今や仲間たちはみな逝ってしまい,恋次とも昔通りの関係ではなくなってしまった。
どうして幸せはこんなにも容易く自分の手から零れおちていくのだろう。

ルキアは回想に耽りながらぼんやりと夜空を見上げた。
その時すぐ隣で自分に呼びかける声がした。

「流れ星でも待っとるん?ルキアちゃん。」

気配も感じさせずに自分の傍らに座っていたのは,護廷十三隊三番隊隊長,市丸ギンであった。
ルキアは仰天した。この場所は下から見る限り自分が座っている位置は見えないはずだし,相当な高さがある。
いったいどうやって自分がここに居ることを知ったのであろう。

「なんでボクがここに来たんかわからんっちゅう顔をしとるね。」

にやにやと嗤うギンに図星をさされ,ルキアはうつむいた。

「答えは簡単や。ここはボクのお気に入りの場所でもあるんよ。たまに,仕事さぼってここで昼寝してるしな。」

ギンの答えにルキアはほんの少しだけ笑った。
たまにどころか常に仕事を副隊長である吉良に押し付けてふらふらと出歩いているくせに,どの口が言うのであろう。

「そうですか。ここは市丸隊長の場所だったのですね。それでは私は失礼します。」

「待ちぃ,ルキアちゃん。この場所は誰のものでもないやん。流れ星見るまでここにおったらええ・・・」

立ち去ろうとするルキアをギンは引き止めた。
苦手な相手ではあるが行くあてとてない身である。ルキアは再び腰を下ろした。

「市丸隊長は,何をしにここへいらしたのですか?もう昼寝の時間には遅すぎますが。」

「キミと同じや。流れ星を見に来たんや。」

「私は・・・・・・。」

流れ星を見に来たわけではない,とギンに言いかけてルキアは口をつぐんだ。
ひょっとしたら自分は無意識に流れ星を欲してここに来たのかもしれない。
ささやかな望み,自分の居場所を願うために・・・。

「市丸隊長の願いはなんなのですか?」

微かに感じた親近感にルキアは無邪気に問うた。ギンはルキアににんまりと嗤いかけながら言った。

「キミの願いが叶わんことや。」

「な・・・・・!?」

一瞬聞き違いかと思った。しかしギンは繰り返す。

「キミが流れ星に願いをかけるんなら,ボクはそのすべてが叶わないように願う。キミの願いも希望も挫けるように祈るわ。」

ギンの口調はその言葉の内容とは裏腹に恐ろしく優しかった。

「なぜ・・・?」

ルキアの声が震える。なぜこんなにもこの男は自分を傷つけるのであろう。
そんなに自分のことが気に入らないのであろうか,ささやかな願いさえも踏みにじるほどに。
そんなルキアの様子に構わず,ギンはルキアの美しい瞳を覗き込むように見つめ言葉を続ける。

「キミがボクと同じもんで出来ているからや。キミは絶望の中でまっすぐ立っとる。ボクは絶望の中で嗤っとる・・・。」

まるで愛の告白のようにギンはルキアに甘く優しく囁き,大きな手のひらをルキアに差し出す。

「ボクとこおいで,ルキアちゃん。キミの望むものなんか所詮幻や・・・この世界にキミの居場所なんぞどこにもない。キミの居場所はボクだけや・・・。」

「・・・・・・。」

ルキアはギンをじっと見つめた。
そんなことはないと反論することは出来なかった。
この手を取り,この腕に身をゆだねれば楽になるのであろうか,この甘美な絶望そのものの男,市丸ギンの胸の中に・・・

「・・・・星が流れたら・・・」

ルキアの口からルキア自身も予期していなかった言葉が零れた。
どちらの意味にも取れる言葉であったのにギンはあえて追求しなかった。

「ええよ・・・」

二人はそのまま黙って夜空を見上げた。

そしてその夜,星はひとつも流れなかった――。

東の空が白み,大きな橙色の太陽が昇る。
ギンは眩しげに朝日を見つめるルキアの横顔を見つめながら心の中でひとりごちた。

(今日も堕ちてきてくれへんかったね・・・)

すぐ隣に居る己の半身,キミはこんなにもボクと同じもので出来ているのに・・・。
いつも運命と言う名の希望がルキアをギンから連れ去っていく。

キミの全ての夢と希望をボクが喰らいつくしたら,その白い腕を血に染めてボクを抱いてくれるのだろうか・・・共に生きてくれるのだろうか・・・?

絶望と言う名のボクの隣で・・・

                  〈END〉
あとがき
流れ星に願いを祈るルキアのそばでギンはその願いが全て叶わぬことを祈る。
全ての願いも希望も叶わなければ絶望と言う名のボクを抱きしめてくれるだろうか?
歪んだ近親憎悪と自己愛のような執着,私の中のギンの愛はいつも哀しいです。
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